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フィルターバブルの罠

衆議院東京15区補欠選挙の三日前、友人から数ヵ月ぶりに連絡がきた。

その内容は「日本が危ないから、今度の補欠選挙は日本保守党の飯山あかり候補に投票してほしい。母が見ていたYouTubeを一緒に見ていたら、私も日本保守党に賛同する気になった。15区の人と言ったら、あなたしかいなかったから連絡した」というものだった。

支持政党や思想の違いがあるから衝撃を受けたのではなく、友人が選んだ日本保守党の公約や各党員のX上でのポストを読んだり、無責任な振る舞いを見たりで、かなり引いてしまっている。

なぜ僕が引いたのかは下記のポストを参照していただきたい。

Xでの批判的ポスト

ここらの話は、Xで日本保守党に批判的なユーザーのポストやリポストをもっと掘った方がわかりやすいと思う。

党員や支持者のポストも一通り閲覧してみたが、党員や所属している人への礼賛や愛国ポエムのポストや、他政党を支持する人への罵倒ポストが多く、どうにも読み進める気力がなくなり、そっとXを閉じてしまった。

一番最後のポストに書かれているPULPさんのnoteが、有本香氏が自ら拡散したデマ、または誰かのデマを拡散している様子、他の国会議員や著名人とのトラブルなどを細かく検証している。

有本香氏だけではなく、日本保守党がどのような層をターゲットにしているのかもわかるはず。

党首の百田尚樹氏が「知らんけど」と予防線を張りつつ過激なポストをしているのは、他の人のリポストでよく目にしていたが、まさか選挙運動でも似たようなことをやってるとは思わなかった。

「証拠はないんだけど」で言いたい放題やられる側はたまったもんじゃない。

その「証拠のない妄想」を持ち上げる人がいて、まるで事実のように拡散されていくことの恐ろしさ。

友人と友人母の情報源がYouTube一択になっている点にも引いている。あなたへのオススメで関連する動画やその人が好みそうな動画が芋づる式に出てくるので、片っ端から視聴しているのだと思うが。

フィルターバブルの兆候はコロナのときからあった

友人が「母親がYouTubeでコロナワクチンのことを調べてて、打ちたがらないんだ」と言っていたことがある。

ワクチンを打つ・打たないは個人の自由だと思うし、打たない選択をすること自体にはネガティブな気持ちはない。打ちたくて打つ人、打たざるを得ない人、打ちたくなくて打たない人、持病や懸念で打てない人がいるのは不自然ではない。

だが、コロナワクチンには「人口ヒドラマイクロチップやホワイトクロット、寄生虫バージョンもあり)が混入している」だの「人類の選別作業のために支配者層がコロナワクチンを打たせたい」だの「オリオン座のレプリティアンがコロナワクチンに寄生虫の卵を混ぜて、集合意識を乗っ取り人類をコントロールする」だのと言い出したらさすがに止める。

友人母がどの動画を見てコロナワクチンを打たない選択をしたのかは不明だが、ぶっとび方面の動画に影響されていないことを祈っている。

このあたりの友人は「ソースがYouTubeだからね、鵜呑みにはしていないよ」と言っていたのだが、自分に刺さるトピックだとソースがYouTubeでも問題ないようで……。

というか日本保守党の何がそんなに刺さったのかが気になる。

同類の動画を延々とおすすめしてくるYouTubeサイドにも問題がある

フィルターバブルと先鋭化した考えは相性がいい。

誰も表では言えない「ホンネ」が動画でアップされているし、賛同者がコメントしているし、「こうやって考えているのは自分だけじゃなかったんだ!」と仲間意識が芽生える。

そのホンネが、排外的だったり、ヘイトだったり、陰謀論だったり、過激な思想だったり、一般的には受け入れられない内容であればあるほど、フィルターバブルが強化されやすい。

陰謀論者や地球温暖化否定者のYouTubeレコメンデーションには、何が表示される? フィルターバブルを“体験”可能にする「TheirTube」 | WIRED.jp

YouTubeのレコメンデーションエンジンはあなたの嗜好を視聴履歴や検索ワードから捕捉し、あなたが見たいと思うであろう映像を提案することに長けている。

このレコメンデーション機能は便利である反面、使用者の価値観に合う情報しか提示せず、それと異なる情報は自動的に遠ざけてしまう側面がある。このような状況は、それがまるで片寄った情報しか通さないフィルターの被膜の中に閉じ込められているようであることから「フィルターバブル現象」と呼ばれ、さまざまな批判を浴びてきた。

おそらく友人たちは、日本保守党関連の動画からいろいろなデマや差別心を煽る動画も見ていると思う。

オススメ機能で湯水のごとく流れてくるだろうし、今こうして僕がブログを書いている間にも、日本保守党の動画を見ているはず。

もうこうなってしまうと、誰が何を言おうと無駄だ。

「日本保守党を支持しない奴は反日左翼」とか「日本保守党が当選すると都合が悪いの?」とか「日本保守党以外に入れるなんて日本を壊したいの?」とか、そういう風に受け取られてしまう可能性が大きいので……。

あまり深入りしたくないのが正直な部分で、飯山あかり氏が落選した日から友人にメッセージを返していない。確実に江東区民をディスってくるのが目に見えてるから。まぁ僕は飯山あかり氏には投票しなかったのでディスられても仕方ないかもしれないが。それでも「今連絡したらかなり面倒くさそうだからスルーしたい」という自分の心に嘘はつけない。

一水会のポストが心にしみる……。

政治の「せ」の字も言わなかった人がYouTube動画で目覚めてしまう危うさ、ネット上での人気と現実はイコールではないんだぞ

僕の心情を的確に表してくれているポストがこちらです。

政治に興味を持つのはいいことだとは思う。

YouTubeで政治に目覚めるのも百歩譲ってアリだと思う。

ただそれはソース元がきっちりしていて、なおかつフラットな目線で編集しているYouTubeなどの話であって、各方面からデマの訂正やヘイトへの批判を受けている政治団体YouTubeで感化されるのはいただけない……。

日本保守党、飯山あかり氏はネット上では人気が高い。しかしそれはあくまでもネット上だけの話。さらに言えば、ネット上でも特定の層に人気が高いだけ。

飯山あかり氏が落選したのを知ったとき、僕は田母神俊雄氏が都知事選で落選した時のことを思い出した。

今回の補欠選挙と同じく、ネットでの投票予想と実際の得票数がまったく違っていたのだ。

ちなみにネットでは一位、現実では最下位の得票数。

「田母神閣下と持てはやされていても、所詮はネットで騒いでいるだけなんだな」と思った。

この田母神俊雄氏も、やはり嫌韓嫌中、男尊女卑、ジェンダー関係に否定的な保守思想の人だった。

なぜこういう保守(と一括りにしてしまうのは、差別を是正しようとしたりデマをちゃんと指摘したりするまっとうな保守派の人達に失礼だけれど)は人気があるのだろうか?

この都知事選のときも、自称保守の知人から田母神俊雄に投票してくれと言われた。入れる訳ねーだろ。

もうね、こういうYouTubeとかまとめブログとかで感化されて、いつもは連絡してこないのに投票のお願いだけされるの本当に嫌いなんですよ。あと政治の話だと上から目線になる人も本当に嫌いだし、ネットでデマを撒き散らしてるアカウントを盲信している人も本当に嫌。攻撃的で汚言ばかり吐いてきて話が通じねぇんだもん。

以下、フィルターバブルとかヘイトスピーチとかネット人権侵害とかレイシズムとかの書籍いろいろ